WORKS / とらのあな AKIHABARA

主要用途: 店舗

施工: 丹青TDC

所在・会場: 東京 秋葉原

延床面積: 84.6m2

設計期間: 2006.04-06

施工期間: 2006.06-07

写真: 阿野太一

秋葉原の中央通りに面し、同人誌を中心に扱うコミックショップの1階の内装計画である。1階では音楽CD・DVDソフトを扱う。

電気街や萌え文化発祥の地として知られる秋葉原。この街においては、少なくとも、商品数を減らして見せるようなショップデザインは望まれていない。物が密集している密度の高さ、あるいは雑多な状態を保ったまま、その状況をより強調するような商品の見せ方と、売り場の個性を同時に達成することを第一に考えた。エントランスから店内へ導き、ショップを一巡する帯のような陳列棚をつくることで、マニアなコレクターの自室のように、大量のCD・DVDで囲われた空間を目指した。

大量の商品が置かれても、なお見えてくる部分として棚の小口面や棚裏に注目し、壁面装飾用に使われる「リブボード」という凹凸の付いた建材を、その断面形状の多様さから、小口面使いをする新しい試みを行った。波々の形を持った水平の棚板は、帯のような棚の連続性を強調すると同時に、CD・DVDを表面置きする際の引っかかりにもなる。また、有機的な形状が単調になりがちな陳列棚に表情と変化を与える。

MDF製の二種類の波形ボードの裏面側同士を圧着し、エナメルウレタンのつぶし塗装をかけることで、上下に波形のある、一枚の棚板として見せる。その棚板をLアングルで背板に固定したユニットを、天井からの支持金物で吊り込む。照明は昼光色の蛍光灯とし、600mmピッチで配列された器具が店内を白く均質に照らす。

何層もの商品の帯と、それを構成する波形の帯とが真っ白い空間の中に浮遊する。